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私の震災体験

私の震災体験

その日私は東京にいた。午前中、国民健康保険診療施設協議会(以下、国診協)のリハ部会の会議に出席し、午後1時過ぎには国診協の入る浜松町芝大門のビルを出た。羽田空港に到着したのが午後2時前。いつものように保安ゲートを通過し、「(今日の松坂委員長のつっこみは厳しかったなー…)」などとぼんやり考えながら搭乗待合室の椅子に腰かけていた。出発予定時刻の20分前頃「本日は修学旅行の学生さんから搭乗していただきます。」とアナウンスが流れた。それから「まずゴールドカードメンバーのお客様からご案内いたします。」しばらくして「一般のお客様もご搭乗下さい。」ようやく自分の番だと立ち上がりチケットを取り出したとき、羽田空港の建物全体が小刻みに震えるような感覚がした。それから大きな船が波に揺られるようにぐらんぐらんと揺れ始めた。
「案内板から離れてください。立っているお客様はすぐに座ってください。」アナウンスされると同時に搭乗ゲートが閉じられた。すでに機内に乗り込んでいた乗客たちが次々に搭乗待合室まで戻されてきた。テレビでは参議院国会中継から直ちに緊急地震放送が流れ始めた。千葉県市原市でコンビナートの石油タンクが炎上している映像が映し出された。羽田空港の大きなガラス窓越しに東京湾の向こうで炎が上がっているのが見えた。

「このチケットでは払い戻しも(飛行機の)振替も出来ません。旅行会社の人と相談して下さい。」どうやら自分の購入したホテルパックのチケットは相手にされないらしい。仕方なく人の流れに沿って二階の出発ロビーまで戻ってきたが、旅行会社の人と相談しようにも頼みの携帯電話が通じない。地震の影響で通話が制限されているようだった。
出発ロビーは人でごった返していた。途方に暮れているところに突然携帯電話が鳴った。「○○トラベルの△△です。ぎりぎり乗れなかったようですね。今日の最終便の予約とホテルも取っておきました。」地獄に仏とはこの事かと思いながら、交通手段がストップし羽田から出られないのでホテルは使えないことと最終便の予約の確認は搭乗受付カウンターが閉鎖されているのでしばらく待って見るしかないことを伝えて電話を切った。
出発ロビーでは既に徹夜を覚悟したのかダンボールを広げている人、毛布にくるまる人、公衆電話に並ぶ人、メールを打ち続ける人、不安げに電光掲示板を見つめる人…1万数千人があふれていた。
とりあえず自分の坐るスペースを確保して電光掲示板を見ているとほとんどの便が調整中から欠航の文字に変って行った。予想通り広島便もあえなく欠航、羽田泊まりが決定した。携帯電話をかけることは出来なかったが受信することは可能で、○○トラベルの△△さんから何度か連絡をもらった。「明日の朝イチで予約が取れました。予約番号は***です。もしそれが駄目な場合は夕方まで難しいかもしれませんが、とりあえずキャンセル待ちを入れまくっときました。」

午後11時を回った頃、搭乗待合室を解放してくれるとのアナウンスがあった。搭乗待合室は出発ロビーよりも圧倒的に広いし座席数も多い、その上床がカーペット敷きであるため冷え込みが違う。迷わず保安ゲートをくぐり登場待合室の空いた椅子めがけて小走りに走った。12時近くになって初めて体を横にすることができた。テレビの画面は津波の様子を繰返し映していた。
午前4時、搭乗待合室から直ちに退去するよう指示があり、朦朧としながら出発ロビーに戻った。手の甲にボールペンで書き込んだ予約番号だけを頼りに搭乗受付カウンターに並んだ。長蛇の列の最後尾から見えるカウンターははるかに遠い。
「(一体いつになったら自分の順番が回ってくるのだろう、この予約番号だけで振替がうまくいくのだろうか。)」
飛行機の出発時間が迫って来た午前6時過ぎにようやく受付カウンターにたどり着いた。係りの人が昨日の飛行機の予約チケットと今日の予約番号を確認して新しい航空券を渡してくれた。これで広島に帰れる。

広島空港に降り立つと、到着ロビーでテレビのクルーが取材していた。足元を見ると新聞社のカメラマンがこちらを映している。中国新聞だったらしい。


このたびの東北・関東大震災とそれに伴う大津波の被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。ご家族が行方不明になっていたり家を流されたりした方々の心中を思うと胸が痛むばかりです。一人でも多くの行方不明の方が発見され、災害の復旧・復興が進むことをお祈り申し上げます。そして何より今避難所で暮らしておられる方々の心と体の健康が損なわれないよう、ほんの少しだけ震災に関わったものとして自分の出来る範囲で支援しようと思っています。

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